腸の働き
 人間の腸は小腸と大腸に分かれており、小腸が6~7メートル、大腸が1.5メートル、2つの腸を合計すると身長の4~5倍もの長さになります。小腸は十二指腸、空腸、回腸の3つに、大腸は上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸、盲腸の6つに分けられ、それぞれ食べた物から栄養素を分解・吸収して、排泄物を形成する役割を担っています。
 小腸の役割は、胃で消化された食べ物を腸液、胆汁、膵液の消化酵素で分解し、水分とともに吸収することです。その時間はおよそ3~4時間で、消化吸収のほとんどは小腸で行われます。また、小腸には外部から取り込んだ有害なものや異物に対処する免疫機能が備わっており、小腸の働きが弱まると風邪をひきやすくなったり、疲れが取れにくくなったりと、私たちの健康にも影響が及ぶと考えられています。
  一方、大腸は水分、カリウム、ナトリウムなどの吸収を行ったり、過剰に摂取したマグネシウム、カルシウム、鉄などを排出したりします。しかし、最も重要な働きは「食べ物の残りかすから便を形成する」ことです。人間は1日に1.5~2リットルの水分を摂ると言われていますが、水分の95%は小腸で吸収され、食べ物が大腸にたどり着くころには栄養分の吸収はほぼ終わっています。大腸は食べ物の残りかすから水分を吸収し、便を形成しますが、大腸で水分が吸収されないと下痢になってしまい、便が排泄されないままだと、水分が吸収され続け、便秘になってしまいます。
私たちの腸は消化、吸収、排泄など、生命に関わる役割を担う大切な器官なのです。