善玉菌の働き
 善玉菌は腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスを整え、腸内環境を改善する役割があります。腸内環境が改善されると便秘や下痢の予防に、免疫力が高まると風邪やインフルエンザの予防につながります。
また、善玉菌が活性化すると、悪玉菌による有害物質の産生が抑えられ、花粉症などのアレルギー疾患の抑制、血中コレステロールの低下、血圧の降下、内臓脂肪の減少など、その他にも多くの効果があると考えられています。
 ヨーグルトのCMなどでよく耳にする「ビフィズス菌」や「乳酸菌」は代表的な善玉菌ですが、その特徴は分類学上、菌の属・種・株によって異なります。代表的なビフィズス菌と乳酸菌の特徴は以下の通りです。
■乳酸菌
◆サーモフィルス菌
 ヨーグルトを作るときの主要な乳酸菌のひとつ。ヨーグルトの滑らかな粘り気を生み出す。乳酸のほか、ブルガリア菌の増殖に欠かせないギ酸も産生する。
◆ブルガリア菌
 アミノ酸やアミノ酸化合物(ペプチド)を産生する。アミノ酸、ペプチドはサーモフィルス菌の増殖を促す。
◆ラムノーザス菌
 胃酸や胆汁酸に強い耐性を持つため、大腸まで届いて腸内バランスを改善する。
◆カゼイ菌
 主に小腸で増殖。小腸の運動や栄養分の消化・吸収を助ける働きをする。
◆ガセリ菌
 ラクトバチルス属の代表的な菌種。胃がんなどの原因になるピロリ菌を抑制する乳酸を産生していると見られている。
◆ヘルベティカス菌
 血圧を調整する物質を産生している。動物実験では、疲労回復・免疫力を活性化する効果も認められている。
◆デルブレッキー菌
 整腸効果、コレステロールを下げる効果がある。
◆クレモリス菌
 免疫調整力が高い。腸内環境を改善する。
■ビフィズス菌
◆ビフィダム菌
世界で最初に発見されたビフィズス菌。コレステロールを吸収する効果がある。
◆ロングム菌
 大腸まで届いて善玉菌を増殖させ、悪玉菌を減らし、腸内バランスを改善。免疫調整機能を持つ株もある。
◆アドレスセンティス菌
 青年・壮年の健康な腸内で活動。様々なビタミンを合成して、免疫力を高める働きをするとされている。
◆ラクティス菌
 乳児の腸内から分離された菌。酵素や酸に対して強く、整腸効果もある。
◆ブレーベ菌
 乳児の腸内にいるビフィズス菌。腸管出血性大腸菌O-157の増殖を抑制、カンピロバクターなど食中毒菌を除菌。がんのリスクを減らし、免疫を調整する機能を持つ株もある。